BLOG

ブログ

2020

4.01

新型コロナウイルス感染症について

こんにちは。院長の仁位です。

 

新型コロナウイルス感染症の影響は、皆様にも大きく関わってきているかと思います。

動物に関する正しい情報を提供し、飼い主様やスタッフを守るためにも、病院での感染を起こさないように徹底した対応を取り続けていこうと思います。

 

犬や猫に対する感染が示唆され、一部過激な、動物を排斥するような行為の報道もありましたが、現在の認識をまとめると、

・動物に感染する可能性は否定できない、動物から人に感染したエビデンスはない

→回りくどい言い回しですが、動物にうつる可能性は十分ある、動物から人へうつる状況は確認できていない、ということです。

現在の感染の爆発的な増加に対して、動物での報告はごく僅かです。基本的には人の病気で、人→人の感染経路が主であるという認識で良いと思われます。しかし人→動物の感染が成立する可能性があるため、万が一感染してしまった飼い主様は動物との接触を控えるべきです。また、お家の動物も観察対象となる可能性がありますので、その方の対応を行った保健所等への相談が必要です。

 

・動物で症状が出る根拠はない

→ベルギーからの報告で、嘔吐・下痢・呼吸器症状を示した猫から、新型コロナウイルスが確認されています。幸いこのねこちゃんは無事回復したそうです。この症状が新型コロナウイルスによるものである根拠が得られていません。現在の認識としては、動物にも症状が出る可能性はあるが、主に人の病気である、ということです。

 

・動物のコロナウイルス感染症とは別の病気である

→わんちゃん・ねこちゃんのコロナウイルスは以前からよく知られています。しかし軽度の消化器症状を起こすものや、ねこちゃんの伝染性腹膜炎という難治性の病気を起こすものと、新型コロナウイルス感染症は全く異なります。そのため、これらの病気のワクチンや治療法は、今回の新型コロナウイルス感染症には適用できないのです。ちなみにコロナウイルスには複数の種類があり、また種特異性(この場合は、ある病原体の感染が特定の動物種に限られる性質、という意味です)が高いことが知られています。例えば犬のコロナウイルスが人に感染した報告はありません。

 

これらのことは、世界獣医師会、日本獣医師会、東京都獣医師会から正式に報告されています。いくつかリンクを張っておきますね。

世界獣医師会(3月20日):獣医師向けのページで少し難しい言葉も入りますが、現状がよくわかります。

https://wsava.org/wp-content/uploads/2020/03/COVID-19_WSAVA-Advisory-Document-Mar-19-2020-Japanese.pdf

日本獣医師会(3月9日):香港の犬での感染に対する声明です。

http://nichiju.lin.gr.jp/covid-19/covid-19_file3.pdf

東京都獣医師会(3月28日):飼い主様向けで、具体的な考え方や行動指針がまとまっています。

https://www.tvma.or.jp/public/items/1-20200328%28Q%26A-4%29.pdf

 

 

現在当院では、新型コロナウイルス対策として以下のように対応しております。

・スタッフ

スタッフのマスク着用、こまめな手洗い励行、体調に不安がある際の出勤自粛

・環境

診察室での空気清浄機の使用、アルコールや次亜塩素酸水での消毒、診察時に極力3密(密閉、密集、密接)を避ける、飼い主様の外待合や車での待機を推奨

・フィラリア予防について

処方前の検査を回避するかの相談に応じます。原則投与前には検査を行い、感染がないことを確認してから投与開始となります。これは万が一感染していた場合に、通常の投与を行うことでショックを起こしてしまうリスクを避けるためであり、全てのフィラリアのお薬の添付文書にも必ず記載されたいます。しかし通院時に病院内での時間が長くなることでの、新型コロナウイルスの感染リスクに不安がある場合はご相談ください。昨年検査で陰性が確認され、12月までの予防が確実に行えているわんちゃんに限り、リスクをご承知いただいた上でお薬のみの処方も行います。

・お薬のみの処方

継続治療で状態が安定している場合に限り、ご相談の上でお薬のみの処方もお受けいたします。状況に応じて、お電話で獣医師による聞き取りや治療方針のご相談のもとで対応する場合もあります。

 

その他、こうしてもらえたら助かる、こんな方法が使えます!、などありましたらご遠慮無くお知らせください。

 

正直私も多くの報道に一瞬動揺してしまいますが、過激な内容に左右されず、冷静な対応をしていきたいと思います。一日も早く終息に向かい、あたりまえの穏やかな日常に戻れることを切に願います。