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2020

4.28

2020年のフィラリア予防について

こんにちは。院長の仁位です。

みなさまも新型コロナ対策に追われる日々かと思われます。詳細については『お知らせ』をご覧いただければと思いますが、当院でも院内環境の整備や、スタッフや飼い主様の感染対策に苦慮しています。しかしこちらの気持ちや苦労は気にもとめず、蚊は刺してくるし、フィラリア(犬糸状虫)はわんちゃんねこちゃんの体に侵入します。

 

下記は来院時にご案内しているフィラリアについての情報です。ぜひ御一読いただければと思います。

 

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フィラリア(犬糸状虫)は心臓や肺の血管に感染する寄生虫で、ミクロフィアラリア(フィラリアの子ども)を持った蚊に刺されることでうつります。12~30cmほどの紐状の虫が心臓や血管に寄生し、命に関わる恐ろしい感染症です。近年猫でも急性呼吸不全や急死の原因となることが分かっています。

【フィラリアの予防薬とは】

正しくは『ミクロフィラリア駆虫薬』、つまり体に入ったフィラリアを子供のうちにやっつける薬です。ミクロフィラリアが体内に入り1~2ヶ月成長すると、このお薬は効かなくなります。

【予防期間】

フィラリアが感染可能となってから1ヶ月以内に投与を始め、感染できなくなる日の1ヶ月後まで毎月投与を行います。成虫感染を予防するためには、最後の投与日がとても大切です。

フィラリアが感染できる状態になる日は、各地の日平均気温から割り出す世界標準の計算式(HDU)で予測します。20022019年の福岡県のデータでは、最も早い感染開始日は430日、感染終了日は1121日です。

当院では、4月末~5月中旬に投与開始し、11月末~12月中旬に最後に投与することをお伝えしてます。

【フィラリアの血液検査】

万が一前年にフィラリアに感染してしまった場合、通常の投与をすることで重篤な副作用が出ることが報告されています。その年の投与開始前には必ず血液検査でフィラリアに感染してないことを確認してから予防薬をお渡しいたします。

 

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その年のお薬投与前の検査は、すべてのフィラリア予防薬の添付文書に必須事項として記載があります。しかしコロナウイルスが拡大する中、動物病院に行くことに不安がある飼い主様がおられるのも事実です。

そのため当院では、昨年12月まで予防できていたわんちゃんに対しては、上記リスクをご納得いただいた上で、お薬のみの処方を行っています。ご相談ください。

 

 

以下は余談です。

飼い主様の中には、ふと疑問に思った方もおられるのではないでしょうか?人には感染しないのかと。

原則犬の病気ですが、実は人にも、蚊に刺されて犬糸状虫のミクロフィラリア(フィラリアの子ども)は入ってきてます。が、人間との相性は悪くほぼすぐに死滅します。。。。気持ち悪いですね。「ほぼ」というのは、100例ほど人への犬糸状虫の感染報告があるからです。ごくごく稀ですが、なくはないんです。これを防ぐには、フィラリアのわんちゃんを減らし、フィラリアを持った蚊をなくすことが重要です。

ちなみに、リンパ系フィラリア症やオンコセルカ症という人の感染症は亜熱帯地域などで存在します。現在日本でのリスクはほぼ有りません。こちらの治療薬には、わんちゃんの予防でも有名な『イベルメクチン』などが使われます。2015年に大村智先生がノーベル賞を取った、日本人として本当に誇らしいこのお薬は、数千万人の命を救ったと言われています。

大村先生の北里研究所、創始者北里柴三郎先生の実学の精神『科学者は人のためにあれ』は、今コロナと戦っている科学者の方々のありがたさを感じます。

私の大学の同期も、アメリカで必死にコロナウイルスと向き合っています。がんばれ、忠!科学者の皆さん、ハードワークだと思いますが、どうか宜しくおねがいします!