BLOG

ブログ

2020

7.10

アトピー、脂漏症、マラセチア性皮膚炎の重症例に対するMMD療法

久しぶりの投稿になってしまいました。

コロナ規制が少し緩和されたかと思うと、連日の大雨と避難警報で、なかなか落ち着かない日々かと思います。

当院は幸い、ハザードマップによると久留米の中でも比較的安全な地域です。

基本的に大雨による臨時休診は起こりにくいかと思いますが、急な体調不良などを除き、ご家族や動物の安全を最優先に来院のご判断をよろしくお願いいたします。

 

気温と湿度が上がると動物病院で出会う機会が増える病気は、熱中症や、皮膚病、短頭種気道症候群(パグさんなどの呼吸が苦しい病気)の悪化などです。

その中でも最も多いのは皮膚病。

頭フリフリ外耳炎、皮膚ベタベタの脂漏性皮膚炎、こすれるところのかゆいアトピー、脂大好きマラセチア(皮膚の酵母)の繁殖、というかそもそも暑いとかゆい!!

 

今回シーズーのももちゃんの辛い皮膚病に対して、特殊な薬剤とシャンプーの組み合わせで行うMMD療法を行いました。

MMDはM:モメタオティック、M:マラセブシャンプー、D:ダームディフェンスの略です。

これらの薬剤を用いて、炎症やかゆみを効果的に抑え、分厚くなった皮膚のライフサイクルを戻し、細菌やマラセチアを減らし、保湿効果で皮膚を守っていきます。

手順は病変部の毛刈り、お薬の塗布、カラーを付けて3時間以上のつけ置き、通常のシャンプーでお薬を流す、マラセブシャンプーでしっかり洗う、乾燥後に保湿剤の塗布、です

半日作業となりますので、午前中にお預かりして夕方にお迎え。これらの処置を週1回4~8回実施します。

 

慢性化した皮膚炎は、苔癬化という皮膚に苔が生えたようになる状態にいたり、その状況がさらなる悪化をもたらします。

他にも色素沈着や脱毛、自傷による感染や傷の悪化がどんどん目立ってきてしまいます。

ももちゃんは内服やお母さんの献身的な皮膚ケアやシャンプーにも反応が乏しく、寝ても覚めても皮膚のかゆい日々だったようです。

【初日:毛刈り直後】

重度の苔癬化(皮膚ゴツゴツ)、色素沈着(黒い!)、鱗屑(フケ)、脂漏(ベタベタ)、紅斑(赤い!)が目立ちます。

非常につらい日々が容易に想像できます。これは楽にしてあげたい!!耳~下顎のところは毛を刈って見ると想像以上です。

看護師さんたちもショッキングだったようです。

ステロイドの内服もなかなか減らせない日々。さて、どうなるか。。。

 

【7日後:治療前】

激変です!お母さんも看護師さんも、実は私もびっくりでした。

良くなるとは思っていましたが、ここまでとは!初回処置後数日で、ゆっくり眠れる穏やかな日々が取り戻せたそうです。

手先や下顎に苔癬化はまだあり、紅斑や脂漏も当然ありますが、ここ数年でなかった柔らかい手触りです。

ケアをする看護師さんもやりがいを感じてくれたようで、とても真剣に、一生懸命処置を行ってくれました。

内服のステロイドはこの段階でグッと減らします。(翌週の処置の日もかゆみの悪化はありませんでした。)

 

ももちゃんはひとまず週1回で4回の処置を行い、今後継続の間隔や必要性を判断していきます。

残念ながら完治を達成する治療ではありません。

これからも穏やかな日が遅れるように、今はしっかり治療を行い副作用の殆どないような全身治療でコントロールできるレベルまで戻してあげることが目標です。

 

外耳炎と乾性角結膜炎(ドライアイ)の治療も並行して行っており、ドロドロだった目の状態も改善、かゆみからも開放され表情も明るくなりました!